要旨
メタコントロールは目標志向的な情報処理を調整し、認知的柔軟性と安定性を生じさせる。しかしながら、メタコントロールにおける柔軟性と安定性の構造は、これらの状態が単一のスペクトラム上で変動するという見過ごされてきた仮定に長らく従ってきた。この一次元的構造は、柔軟性と安定性の間に必然的なトレードオフを生じさせる。すなわち、より柔軟になることは、安定性の低下という代償を伴わざるを得ない。このような「一次元的」枠組みは直感的な魅力を持つものの、近年の多くの研究は、柔軟性と安定性が独立に変動しうることを明らかにしている。本稿では、一次元的枠組みでは説明が困難な証拠を概観する。その代替として、我々は柔軟性と安定性をそれぞれ別個の次元に割り当てる二次元枠組み(dual-dimension framework: DDF)を提案する。各次元は低から高までの範囲を持ち、独立に変動しうる。さらに、人々が両次元に沿って移行する過程についても記述する。DDFを採用することの理論的利点には、観察された行動の変動性をより精緻に説明できることが含まれる。応用可能性としては、メタコントロール状態を状況の要求により良く合致させるための方略が挙げられる。これらの含意と利用可能なデータを踏まえ、我々はDDFが柔軟性-安定性メタコントロールの構造を記述するより優れた方法を提供しうると提案する。主要な要点
- 柔軟性と安定性の間に必然的なトレードオフが存在すると仮定する従来の認知制御の見方に異議が唱えられる。この一次元的枠組みは、増え続ける証拠を説明することができない。
- 認知的柔軟性と認知的安定性をメタコントロールの二つの独立した次元として概念化する新たな二次元枠組みが提案される。これにより、目標志向的な情報処理がどのように調整されるかについて、より微妙で精緻な理解が可能となる。
- この二次元モデルは、課題セットレベルでメタコントロールがどのように作動するかをより良く説明し、単純な柔軟性-安定性スペクトラムの中では説明が困難な知見を説明することができる。





